著作権侵害の違反事例10選と著作権侵害の成立要件

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目次

著作権侵害の違反事例と損害賠償請求額

それぞれの著作権侵害事例について詳細を解説します。

漫画村事件

漫画村は2016年から2018年にかけて運営された、日本最大の海賊版サイトでした。運営者の星野ロミは、著作権者の許可なく多数の漫画をスキャンしてウェブサイトにアップロードし、無料で閲覧できるようにしました。

サイトは広告収入で運営され、最盛期には月間アクセス数が1億6000万回を超え、推定被害額は3000億円以上に上りました。出版社や漫画家から強い批判を受け、著作権侵害の象徴的な事例となりました。

2019年7月、星野ロミがフィリピンで逮捕され、日本に身柄が移送されました。2021年6月、東京地裁は星野に対し、著作権法違反の罪で懲役3年、罰金1000万円の実刑判決を言い渡しました。

この事件を機に、日本政府は海賊版サイト対策を強化し、ブロッキング(接続遮断)の是非についても議論が行われました。また、正規の電子書籍サービスの普及促進や、著作権教育の重要性が再認識されることとなりました。

理容室BGM訴訟

2011年、札幌市の理容室「はるとも」が店内BGMとして音楽を無断再生していたことが問題となりました。日本音楽著作権協会(JASRAC)が著作権侵害を主張し、訴訟を起こしました。

この事件の焦点は、店舗での音楽の再生が著作権法上の「演奏」に当たるかどうかでした。理容室側は、BGMは営利目的ではなく、著作権法の「非営利目的の演奏」に該当すると主張しました。

しかし、2012年8月、札幌地裁は理容室でのBGM再生を「顧客誘引のための手段」と判断し、著作権侵害を認定しました。裁判所は音楽使用の差し止めと約24万円の損害賠償を命じました。

この判決は、小規模店舗でのBGM使用にも著作権使用料が必要であることを明確にし、多くの店舗経営者に影響を与えました。JASRACは判決後、理容室や美容室向けの包括的な音楽利用許諾制度を導入し、著作権管理の適正化を図りました。

フラダンス振付訴訟

2013年、フラダンス教室を運営する会社が、他者の振付を無断で使用したことが問題となりました。振付師のケウラ・カウアイ・チングさんが著作権侵害を主張し、訴訟を起こしました。

この事件の焦点は、フラダンスの振付が著作権法で保護される「著作物」に該当するかどうかでした。被告側は、フラダンスの振付は伝統的な動きの組み合わせに過ぎず、著作物性がないと主張しました。

しかし、2015年2月、東京地裁は振付に創作性を認め、著作物性を認定しました。裁判所は該当の振付の指導停止と約100万円の損害賠償を命じました。

この判決は、ダンスの振付も著作権法で保護される可能性があることを示し、ダンス業界に大きな影響を与えました。振付師の権利保護が進む一方で、伝統芸能の継承や発展との兼ね合いについても議論が起こりました。

無許諾グッズ販売事件

2020年、「鬼滅の刃」などの人気アニメキャラクターの無許諾グッズを販売・所持していた事例が発生しました。東京都内の雑貨店経営者が、著作権者の許可なくキャラクターグッズを製造・販売していたことが発覚しました。

警視庁は、著作権法違反の疑いで雑貨店経営者を逮捕しました。押収されたグッズは約1万点に上り、その販売額は約1000万円に達していたとされています。

この事件は、人気コンテンツの二次創作物や非公式グッズの問題を浮き彫りにしました。著作権者の許可なく商品化する行為が違法であることが改めて認識され、同様の事例の抑止力となりました。

また、この事件を機に、正規ライセンス商品の重要性や、ファンアートなどの二次創作と商業利用の線引きについても議論が活発化しました。

アニメ制作資料無断コピー販売

2019年、アニメ制作の資料集を無断でコピーして販売したグループの事件が発覚しました。このグループは、アニメ制作会社から流出した原画や設定資料などをコピーし、オークションサイトなどで販売していました。

警視庁は著作権法違反の疑いでグループのメンバー3人を逮捕しました。押収された資料は約10万点に上り、その販売額は約2億円に達していたとされています。

この事件は、アニメ制作現場のセキュリティ問題や、貴重な制作資料の流出リスクを浮き彫りにしました。また、ファンの間で人気の高いアニメ制作資料の取り扱いについて、業界全体で再考する契機となりました。

事件後、多くのアニメ制作会社が資料管理の厳格化や、正規のアートブック発売などの対策を講じました。同時に、ファンの収集欲求と著作権保護のバランスをどう取るかという課題も浮上しました。

投資情報ブログ無断転載

2018年、投資情報提供会社が他社のブログ記事を無断転載した事例が問題となりました。被害を受けた会社が著作権侵害を主張し、訴訟を起こしました。

この事件の焦点は、ウェブ上の記事の著作権保護と、情報の引用や転載の境界線でした。被告側は、投資情報は事実の伝達に過ぎず、著作物性がないと主張しました。

しかし、裁判所は記事の選択や構成に創作性を認め、著作権侵害を認定しました。被告に対し、約100万円の損害賠償支払いが命じられました。

この判決は、ウェブ上のコンテンツも著作権法で保護されることを改めて示し、安易な記事の転載や引用に警鐘を鳴らしました。同時に、情報の共有と著作権保護のバランスについて、デジタル時代における新たな課題を提起しました。

旅行写真無断使用

2017年、旅行業者が職業写真家のハワイの写真を無断で自社ブログに掲載した事例が発生しました。写真家が著作権侵害を主張し、訴訟を起こしました。

この事件の焦点は、インターネット上で公開されている写真の使用と著作権の関係でした。被告側は、ウェブ上の画像は自由に使用できると誤解していたと主張しました。

裁判所は写真の著作物性を認め、著作権侵害を認定しました。被告に対し、約15万円の損害賠償支払いが命じられました。

この判決は、インターネット上の画像も著作権で保護されることを改めて示し、安易な画像の無断使用に警鐘を鳴らしました。また、企業のウェブマーケティングにおける著作権意識の向上にも寄与しました。

ニュース見出し無断転載

2016年、デジタルコンテンツ会社が新聞社のニュース見出しを無断転載した事例が問題となりました。新聞社が著作権侵害を主張し、訴訟を起こしました。

この事件の焦点は、ニュース見出しの著作物性と、ニュースアグリゲーションサービスの在り方でした。被告側は、見出しは事実の簡潔な表現に過ぎず、著作物性がないと主張しました。

しかし、裁判所は見出しの選択や表現に創作性を認め、著作権侵害を認定しました。被告に対し、約24万円の損害賠償支払いが命じられました。

この判決は、短い文章でも著作権で保護される可能性があることを示し、ニュースキュレーションサービスの在り方に一石を投じました。同時に、情報の自由な流通と著作権保護のバランスについて、新たな議論を喚起しました。

SNSアイコン無断使用

近年、タレントやマンガキャラクターの画像を無断でSNSのアイコンとして使用する行為が問題視されています。これは、他者の著作物を許可なく使用する点で著作権侵害に当たる可能性があります。

具体的な罰則は事例によって異なりますが、著作権法違反として罰せられる可能性があります。著作権法では、10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、またはその両方が科される可能性があります。

この問題は、SNSの普及に伴い顕在化してきました。多くのユーザーが著作権の知識不足から無自覚に侵害行為を行っているケースが多いとされています。

著作権者側も、ファンの表現行為を過度に制限したくないというジレンマを抱えています。そのため、明確な法的措置よりも、啓発活動や注意喚起が主な対応となっています。

テレビ番組の無断配信

テレビ番組を許可なくインターネット上で配信する行為は、深刻な著作権侵害問題となっています。特に、ライブストリーミングサービスを利用した無断配信が増加しています。

この行為は、著作権者の許可なく作品を公開する点で著作権法違反に該当します。罰則としては、10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、またはその両方が科される可能性があります。

実際に2020年には、人気アニメをライブストリーミングサービスで無断配信していた男性が逮捕されるなど、取り締まりが強化されています。

この問題は、テレビ番組の視聴形態の変化や、インターネットの普及に伴う著作権意識の希薄化が背景にあると指摘されています。放送局や権利者団体は、正規の配信サービスの充実や、著作権教育の強化などの対策を進めています。

SNSからキャラ弁まで、我々の身近にある著作権侵害の事例5つ

SNSでのキャラクター画像の無断使用

SNSのプロフィール画像やアイコンとして、人気アニメやマンガのキャラクター画像を無断で使用することは、著作権侵害に該当します。これは、著作権者の許可なく著作物を公衆に送信する行為であり、公衆送信権の侵害となります。

多くのユーザーが気軽に行っている行為ですが、法的には問題があります。特に注意が必要なのは、個人的な使用(例えば、自分の携帯電話の待ち受け画面)であれば私的使用として許容されますが、SNSのように不特定多数の人が閲覧できる場所での使用は著作権侵害となる点です。

著作権者によっては、ファンの表現行為として黙認するケースもありますが、正式な許可なく使用することはリスクを伴います。安全な方法としては、自分で描いたイラストや著作権フリーの画像を使用することが推奨されます。

動画配信での音楽の無断使用

YouTubeなどの動画配信サイトで、BGMとして市販の音楽を無断で使用することも著作権侵害に該当します。これは、著作権者の許可なく音楽を複製し、公衆に送信する行為であり、複製権および公衆送信権の侵害となります。

多くの動画クリエイターが陥りやすい問題ですが、たとえ数秒間の使用であっても、原則として著作権侵害となります。YouTubeなどのプラットフォームは、著作権侵害コンテンツを検出するシステムを導入しており、違反が見つかると動画が削除されたり、アカウントが停止されたりする可能性があります。

合法的に音楽を使用するには、著作権フリーの音楽を利用するか、著作権管理団体(例:JASRAC)から許諾を得る必要があります。また、YouTubeが提供する著作権フリーの音楽ライブラリを利用するのも一つの方法です。

ブログでの他人の写真や記事の無断転載

個人ブログやウェブサイトで、他人が撮影した写真や書いた記事を無断で転載することも著作権侵害に該当します。これは、著作権者の許可なく著作物を複製し、公衆に送信する行為であり、複製権および公衆送信権の侵害となります。

インターネット上に公開されている情報は自由に使えると誤解している人も多いですが、ウェブ上の文章や画像にも著作権が存在します。特に、プロの写真家や記者が作成したコンテンツを無断で使用すると、深刻な問題に発展する可能性があります。

ただし、引用の要件を満たす場合は、著作権者の許可なく著作物を利用することができます。引用の要件には、出典の明示、引用部分の明確な区別、引用の必然性などがあります。安全に他人の著作物を利用するには、著作権者から許可を得るか、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスなどのオープンライセンスが付与された著作物を利用することが推奨されます。

海賊版サイトからの漫画のダウンロード

いわゆる「海賊版サイト」から、違法にアップロードされた漫画をダウンロードする行為も著作権侵害に該当します。これは、著作権者の許可なく著作物を複製する行為であり、複製権の侵害となります。

2021年1月から、違法にアップロードされたものと知りながら漫画をダウンロードする行為は、私的使用目的であっても違法となり、刑事罰の対象にもなりました。

ただし、

  1. 軽微なもの(漫画の一コマ~数コマだけ等)
  2. 二次創作・パロディ等の二次的著作物(翻訳を除く)
  3. 著作権者の利益を不当に害しないと認められる特別な事情がある場合

は、規制対象外とされています。海賊版サイトの利用は、著作権者に大きな経済的損失を与えるだけでなく、ユーザー自身もウイルス感染などのリスクにさらされる可能性があります。合法的に漫画を楽しむには、正規の電子書籍サービスや公式アプリを利用することが推奨されます。

キャラクター弁当(キャラ弁)の写真のSNS投稿

人気キャラクターを模したお弁当(キャラ弁)を作り、その写真をSNSに投稿する行為も、場合によっては著作権侵害に該当する可能性があります。これは、著作権で保護されたキャラクターを複製し、その写真を公衆に送信する行為であり、複製権および公衆送信権の侵害となる可能性があります。

キャラ弁自体を作ることは、通常は私的使用の範囲内として問題ありません。しかし、その写真をSNSにアップロードすると、たとえ販売目的がなくても、公衆送信権侵害となる可能性があります[5]。

ただし、実際にはインターネット上で多数のキャラ弁写真が投稿されており、多くの場合、キャラクターの著作権者によって黙認されているのが現状です。それでも、商業目的での使用や、著作権者のイメージを損なうような使用は避けるべきです。また、キャラクターの特徴を抽象化し、オリジナルのアレンジを加えることで、著作権侵害のリスクを低減できる可能性があります。

著作権侵害の成立要件

著作権侵害が成立する要件については、下記の5つを全て満たす必要があります。

著作物性があること

著作権侵害が成立するためには、まず侵害の対象となる作品が著作物であることが必要です。著作権法では、著作物を「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」と定義しています[1]。

著作物性の判断基準として重要なのは「創作性」です。ここでいう創作性とは、作者の個性が表れていることを意味し、高度な芸術性や新規性までは要求されません。例えば、素人が描いたイラストや、日記のような個人的な文章にも創作性は認められます[2]。

一方で、単なる事実やデータ(例:「東京タワーの高さは333m」)、ありふれた表現(例:「いつもお世話になっております」といったあいさつ)、短文で自由度の低すぎる表現(例:「今でしょ」のようなキャッチフレーズ)などには、通常、著作物性は認められません[4]。

また、著作権法では「事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道」は著作物に該当しないとしています。同様に、プログラミング言語や規約(プロトコル)、解法(アルゴリズム)も著作物には該当しません[2]。

著作物性の判断は時に難しく、裁判でも争点となることがあります。特に、いわゆる応用美術(実用品のデザインなど)の著作物性が問題となることが多いです。このような場合、その表現が通常のデザインプロセスを超えて、美的創作性を有するかどうかが判断基準となります。

著作権が存続していること

著作権侵害が成立するためには、対象となる著作物に著作権が存続していることも必要です。著作権には存続期間が定められており、この期間を過ぎると著作権は消滅し、誰でも自由に利用できるパブリックドメインとなります[2]。

日本の著作権法では、原則として著作者の死後70年を経過するまで著作権が存続します。ただし、著作者の死亡時期が不明な場合や、法人著作の場合など、いくつかの例外規定があります[1]。

例えば、著作者の死亡時期が不明な場合は、公表後70年を経過するまで著作権が存続します。また、法人著作の場合は、公表後70年(創作後70年以内に公表されなかった場合は創作後70年)を経過するまで著作権が存続します[2]。

映画の著作物については、公表後70年(創作後70年以内に公表されなかった場合は創作後70年)を経過するまで著作権が存続します。

また、戦時加算という特殊な規定もあります。これは、第二次世界大戦の影響で著作権の適切な保護が行われなかった期間を補償するもので、連合国の著作物については一定期間が加算されます[1]。

著作権の存続期間は国際的な取り決めによって各国で調和が図られていますが、国によって若干の違いがあります。そのため、海外の著作物を利用する際は注意が必要です。

なお、著作権が消滅した著作物であっても、それを翻訳や翻案した二次的著作物には新たに著作権が発生することに注意が必要です。例えば、シェイクスピアの作品は著作権が消滅していますが、その現代語訳には訳者の著作権が存在します。

依拠性があること

著作権侵害が成立するためには、侵害が疑われる著作物が既存の著作物に依拠して作成されたことが必要です。これを「依拠性」と呼びます。

依拠性とは、既存の著作物を参考にしたり、それをもとに創作したりしたことを意味します。例えば、他人の小説を読んでそのストーリーを真似して小説を書いたり、他人の絵画を見てそれを模写したりする場合には、依拠性が認められます

一方で、既存の著作物を全く知らずに、偶然似たような著作物を独自に創作した場合には、依拼性がないため著作権侵害は成立しません。最高裁判所の判決(昭和53年9月7日)でも、「既存の著作物と同一性のある作品が作成されても、それが既存の著作物に依拠して再製されたものでないときは、その複製をしたことにはあたらず、著作権侵害の問題を生ずる余地はない」とされています[5]。

依拠性の立証は難しい場合があります。特に、侵害者が依拠を否認する場合、著作権者側で依拠の事実を直接証明することは困難です。そのため、裁判では間接事実から依拠性を推認することが多くなります。

具体的には、①両著作物の類似性、②原告著作物へのアクセスの機会の存在、という2点から依拠性が推認されることがあります。例えば、ある裁判例では、被告が原告の著作物を所持し、これに目を通したり参照したりしたこと、両著作物間に表現上全く同一のものや、わずかに改めただけのものが複数見られること、被告の著作物に原告の誤りを踏襲している部分があることなどから、依拠性が認められました[3]。

ただし、依拠性の有無は個々の事案ごとに慎重に判断される必要があり、単に似ているというだけでは依拠性が認められるわけではありません。

同一性または類似性があること

著作権侵害が成立するためには、侵害が疑われる著作物が既存の著作物と同一であるか、または類似していることが必要です。これを「同一性」または「類似性」と呼びます[2][4]。

同一性とは、既存の著作物を完全に複製している場合を指します。例えば、他人の文章をそのままコピーしたり、絵画を複製したりする場合が該当します[4]。

一方、類似性は、完全な複製ではないものの、既存の著作物の本質的な特徴を直接感得できる程度に似ている場合を指します。例えば、既存の小説のストーリーを若干変更して小説を書いたり、既存の絵画の構図や色彩を模倣して絵を描いたりする場合が該当します[4]。

類似性の判断基準については、最高裁判所の判決(平成13年6月28日)で示されています。この判決では、「著作物の複製とは、既存の著作物に依拠し、その内容及び形式を覚知させるに足りるものを再製することをいう」とされ、また「著作物の翻案とは、既存の著作物に依拠し、かつ、その表現上の本質的な特徴の同一性を維持しつつ、具体的表現に修正、増減、変更等を加えて、新たに思想又は感情を創作的に表現することにより、これに接する者が既存の著作物の表現上の本質的な特徴を直接感得することのできる別の著作物を創作する行為をいう」とされています[5]。

ただし、アイデアや事実それ自体は著作権法の保護対象ではないため、それらが似ているだけでは著作権侵害にはなりません。保護されるのはあくまで「表現」であり、その表現の本質的な特徴が類似しているかどうかが判断基準となります。

類似性の判断は時に難しく、裁判でも争点となることが多いです。特に、パロディや二次創作の場合など、既存の著作物を参考にしつつも新たな創作性を加えている場合の判断は難しいケースが多くあります。

著作権法で定められた利用行為に該当すること

著作権侵害が成立するためには、著作権法で定められた著作権者の専有する利用行為に該当することが必要です。著作権法は、著作権者に対して様々な権利を付与しており、これらの権利を侵害する行為が著作権侵害となります[1][4]。

具体的には、以下のような権利が著作権者に認められています:

  1. 複製権(著作権法21条):著作物を複製する権利
  2. 上演権、演奏権(同法22条):著作物を公に上演・演奏する権利
  3. 上映権(同法22条の2):著作物を公に上映する権利
  4. 公衆送信権・公衆伝達権(同法23条):著作物を公衆に送信・伝達する権利
  5. 口述権(同法24条):言語の著作物を公に口述する権利
  6. 展示権(同法25条):美術の著作物等を公に展示する権利
  7. 頒布権(同法26条):映画の著作物を頒布する権利
  8. 譲渡権(同法26条の2):著作物の原作品・複製物を譲渡する権利
  9. 貸与権(同法26条の3):著作物の複製物を貸与する権利
  10. 翻訳権、翻案権等(同法27条):著作物を翻訳・翻案等する権利
  11. 二次的著作物の利用に関する原著作者の権利(同法28条):二次的著作物を利用する権利[4]

これらの権利を侵害する行為、例えば著作権者の許諾なく著作物を複製したり、公衆送信したりする行為が著作権侵害となります。

ただし、著作権法には権利制限規定も存在し、一定の条件下では著作権者の許諾なく著作物を利用できる場合があります。例えば、私的使用のための複製(同法30条)、引用(同法32条)、教育目的での利用(同法35条)などが該当します[1]。

また、著作権法には「みなし侵害」の規定もあり、著作権を侵害する行為によって作成された物を、その事実を知りながら頒布したり、頒布目的で所持したりする行為なども著作権侵害とみなされます(同法113条)[1]。

著作権侵害の判断は、これらの権利や制限規定を踏まえて総合的に行われます。そのため、著作物を利用する際は、どの権利に関わる行為なのか、権利制限規定は適用されないのかを慎重に検討する必要があります。

情報源
[1] 著作権侵害となる5つの要件|著作権法に違反する基準とは? https://itbengo-pro.com/columns/2/
[2] 知らずに著作権侵害になるケースとそのペナルティを解説! - 広島で … https://hiroshima-kigyo.com/column/8070
[3] 著作権を侵害された場合に損害賠償請求するには - 京都総合法律事務所 https://kyotosogo-law.com/post-5169/
[4] 著作権侵害をされたときの対処法|手続きの種類・流れや注意点 … https://keiyaku-watch.jp/media/hourei/chosakuken-shingai/
[5] 著作権侵害とは?事例や罰則、成立要件などをわかりやすく解説 https://kigyobengo.com/media/useful/2118.html
[6] そもそも著作物とは? https://kailash.co.jp/legals/post-9693/

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